売却済
1963年製のアバルト1000TCが入庫しました。「TC」の意味は「ツーリズモ・コンペティツィオーネ」の略です。いわゆる、市販車をベースとした競技車輌になります。この1000TCは、1956年にデビューしたフィアット600Dをベース車輌としています。
600Dは一般大衆向けのベーシックカーでしたが、その中身は非常に強固なフロアパンと、良く出来た4輪独立懸架サスペンションを備えており、パワーよりも、完全に足廻りが勝っていたモデルであり、アバルト・マジックのエッセンスでモデファイを行なうのに、うってつけのモデルの1台でありました。
アバルトは5000系などのエンジンや排気関係のキットパーツを開発して一般ユーザーへ販売していく一方で、フィアット社へある取引きを持ちかけました。端的に申しますと、「私はあなた方が販売しているクルマに、私が開発したチューンナップ・キットを装着して、レースでは何台ものフィアット車が良成績を上げており、あなた方の会社の売上げに貢献している。
ついては、1レースで私の開発したパーツを装着したフィアット車の戦績により、インセンティブが欲しい」という要求を提案し、フィアット社もその要求に応えたという、なんとも良い時代でした。
この、フィアット社からのインセンティブや独自に開発したチューンナップ・キットの売上げ金を元に、排気量を750ccに高めたフィアット・アバルト750ベルリーナを1956年にリリース、続いて1960年からは排気量を850ccにアップした850TCベルリーナを、翌1961年には今回の入庫である1000TCを発表しました。
イタリア国内をはじめ、ドイツ、フランス、イギリスなどのヨーロッパ主要国では、それぞれのナショナル・チャンピオンシップを賭けたシリーズ戦が開催されており、アバルトはクラス・カテゴリー内の最軽量クラスを狙い、マシンやパーツを開発していき投入していき、常に上位の戦績を記録していきました。
オリジナリティの高い1000TCで、秋から数多く開催される、クラシック・ラリーに参加される愉しみ方もあります。一度、実車をご覧下さい。
SPECIFICATION
車名 | ABARTH 1000 TC |
グレード | 1000TC |
生産国 | ITALY |
年式 | 1963 年 |
車検 | 平成29年7月 |
ボディカラー | BIANCO |
内装 | NERO |
ミッション | 4MT |
ハンドル | LHD |
排気量 | 1000 cc |
過給器 | NA |
燃料 | ガソリン |
サイズ | 3470 x 1350 x 1350 mm |
乗車定員 | 4 人 |