1971年のトリノショーでデビューしたアルファスッドは、その直線的なスタイルからも予測できますがジョルジェット・ジウジアーロによるデザインです。縦置きの水平対向 4気筒 1,286cc エンジン、4輪ディスクブレーキ（フロント インボード式）、コンパクトながらも大人4人が乗ることのできる室内空間、大容量のトランク、FF車としては高い評価を得たハンドリング性能など、当時としては優れた機能を持ちヒット作となりました。シリーズを通して10年以上生産されたロングセラーです。1976年には“スプリント”が登場し（1,286ccエンジン）、1978年には外観および技術面がアップデートされました。エンジンは、79psを発揮する1.3Lモデルと85psを発揮する1.5Lモデルの2パターンが展開されています（前者はイタリア国内用、後者は輸出用）。外装では、ウィングミラーやCピラーのかわいらしい四葉のクローバーをモチーフにしたオーナメントなどが追加されました。サイドマーカーが丸型から四角になったのも同じタイミングです。それから1年後の1979年、エンジンのアップデートが再びおこなわれ、スプリント・ヴェローチェとなりました。ダブルツインチョークキャブレターと高圧縮比化により、エンジン出力は1.3Lモデルが86ps、1.5Lモデルが95psへと向上しています。なお、1.5Lモデルの最高速度は175 km/hと公表されています。

こちらでご紹介する当車両は希少なスプリント 1.5 ヴェローチェです。台数自体は多く生産されているアルファスッドですが、新車当時から“溶ける”ともいわれたボディの錆びが問題として挙げられており、綺麗な状態で現存している個体は少なくなっています。写真からもご覧いただけるように当車両は錆びひとつ見られず、このようなコンディションを保っているアルファスッドは、世界中探してもなかなか出会えないのではないでしょうか。張り替えられたシートはレカロシートにチェック地とブラウンのビニールレザーを組み合わせ、オシャレな唯一無二のスッドに仕上がっています。また、機関系もしっかりと手が加えられており、2021年にエンジン＆ミッションOH、ダンパー交換、アンサーマフラーに交換、カンパニョーロホイールに交換、といった作業をおこなっています。日常使いからイベント使いまで、アルファスッドを存分にお楽しみください。